血圧の正常値はどれが正しい?その2

スタッフブログ担当のFです。

さて、今回は「血圧」シリーズその2です。

前回は、血圧の正常値はどれが正しいのか?という疑問に対して、日本には基準が大きく2つ存在することを紹介しました。

まずは、前回の復習から。

そもそも血圧が高いことが、それほど問題なのか?という疑問に対する疫学的な研究をしているのは、日本とアメリカの2か国だけです。

アメリカでは、フラミンガム研究が有名ですし、日本では、福岡県の久山町研究が有名です。

血圧が高いことが、脳血管疾患にどのようなリスクがあるのかという長期間の研究は、たったこの2つしか存在しません。

 

短期間の研究論文は、多数存在しますが、母体数Nが小さすぎたり、調査期間や性別、年齢、合併症、住環境などの様々の条件に付いては、あまり重要視されていないのが現状です。


何故なら、これらの研究が「血圧が高いと脳血管疾患や心血管疾患になりやすい」という仮説が前提になっているからです。

その仮説を証明するために、どれくらいの血圧になったらリスクが高まるのか?何歳位以上の人に起きやすいのか程度の結論しか見ることが出来ません。


久山町研究によれば、最高血圧が140を超えた辺りから脳血管疾患が増え始め、180を超えると1000人の内約60人が脳卒中になったとの結果が発表されました。

ちなみに最高血圧が139以下の人が脳卒中になったのは、1000人中約30人。

上の血圧が180を超えるまで、脳卒中の確率は、ほとんど変わっていないことがお分かり頂けると思います。

 

 

さて、皆さんは、この結果をどう判断されますか?

1000人の60人と30人、確かに倍と言えば倍ですね。

「血圧が高いと脳卒中のリスクは、2倍になります」と言えるのです。

 

ところが、180以上の血圧を医薬品で下げたら、脳血管疾患が減ったのか?については触れられていません。

 

つまり、高血圧を医薬品で下げたら、脳や心臓の病気が予防出来たという大規模試験データはないのです。

 

母体数の多さから判断すると、人間ドック学会の150万人のデータの方が、より大規模データだと言えるでしょう。

最高血圧147最低血圧94までが正常値という健康な日本人のデータです。

しかし、このデータでも、医薬品による降圧の影響については、言及されていません。

 

私は製薬会社勤務時代、血圧が高いと血管に圧力がかかり、脳や心臓や他の臓器にも影響が出ると学び、
それを信じて医薬情報担当者として仕事をしていました。

 

しかし、血圧は一日の内でも、大きく変動します。

また、年齢や性別や身体の個体差の影響も少なくありません。

きっと、読者の皆さんの一番の関心事は、「結局、血圧が高い時、薬を飲んだ方が良いのか?
飲むなら、どれくらい以上が適切なのか」だとお察しします。

 

誠に残念ながら、私には、医薬品の処方権限はありませんので、飲んだ方が良いとか悪いとか言う事は出来ません。

ですので、このブログでは事実を書くことに徹したいと思います。

知っておいて方が良いと言うのは、原因と結果についてです。

例えば、「A君は、男性である」→「だから、スカートをはかない」という事実があったとしましょう。

しかし、「Bと言う人は、スカートをはかない」→「故に、Bと言う人は男性である」とは言えないという事です。

 

ですので、「血圧が高いと血管疾患になりやすい傾向にある。」

だから、「血圧を下げたら血管疾患のリスクが減る。」という結論は、証明にはならないという事です。

 

現代医療は、科学的な見地から治療方法を決定します。

そして、科学は「仮定」を立てて検証していくという過程を経て、結論を導きます。

「高血圧」を下げたら、「脳血管疾患」「心血管疾患」が予防できるというのは、未だに仮説であるという事を知っておいた方が良さそうですね。

 

次回は、血圧が高いとされた場合、下げるという事はどういう事なのかについて書きたいと思います。

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兵庫県健康管理士会では、毎月第4日曜日に、健康講座などのプログラムを組んで、社会貢献できるNPO法人でありたいと健康講座や体操教室などの活動をしています。

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